2014.10 生命の木、ピアロムデーツのお話

マザファティデーツ, イラン産デーツ

前回8月に行った時と同じく、デヘスタン村へ。

 

デヘスタン村は、ピアロムデーツの数少ない産地の中でも、涼しい気候なので虫にも強く、最高級と言われるピアロムデーツの中の最高の場所だそうだ。

 

そこへ行く途中に、2人の年老いたファーマーがヒッチハイクをしていたので、村まで乗せて、一緒に行く事に。

 

そこで、彼らに今年の収穫具合や、相場なんかを聞いたりしているうちに到着。

 

 

そこからモスタファの親戚、ムハンマドさんのガーデンを見て回り、その後、ハジアバード、テゼッチ村など、ピアロムデーツを生産するエリア、工場を2日かけて見て回った。


 

マザファティデーツ, イラン産デーツ

その夕方、急に車のエンジンがかからなくなり、動かなくなった。その時テゼッチ村に農園を持つデーツファクトリーを経営するファミリーの息子と一緒だったので、彼の父であり、そのファクトリーの社長に連絡して車を持ってきてもらった。二手に別れ、ロープで車を引っ張ってもらいながら、修理工場へ。

 

車は次の日にしか直らないことがわかり、途方に暮れていると、そののファミリーが「泊まって行きなさい」ということで、ファクトリー内にあるお宅へお邪魔することに。夕食や、ローカルデーツマーケット、シシャと呼ばれる水タバコなど、ひどく至れり尽くせりさせてもらった。

 

 

後に「中国人の大物ビジネスマンが来て、大量に買っていったから、値段が高騰するぞ」という噂が流れていたらしい。


 

 

 

マザファティデーツ, イラン産デーツ

 

2日間、朝7時前から夜10時過ぎまでフルで見て回り、かなりたくさんの情報を得た。


1、メチルブロマイドと呼ばれるガスで、虫を殺す事ができるが、デーツはそもそも抗ガン効果があるのに、メチルブロマイド自体に発がん性があること。


2、ヘタや種を取ると、栄養成分やうまみが逃げてしまい、さらに酸化が早まる、虫もへたのところから入りやすくなること。


3、ピアロムは紫より黒の方が貴重だとされることがあるが、実はUreaと呼ばれる化学肥料を使った証である事。

 

4、つや出しで使われるパラフィンオイルも、ウェットになり、虫を惹き付ける原因にもなるので使わない方が良い事。


etc, 収穫の現場なんかも見ることができ、なかなか興味深い。

マザファティデーツ, イラン産デーツ

農家の方や、ファクトリーの人たち、トレーダーの人たちなどとも昼食や夕食を食べながら交渉をした。

 

僕と同じ年代の若者兄弟2人が、親から引き継いだ立派なトレード会社を経営していた。彼らの自信と、若いなりにも貫禄が伝わってきた。

 

昼食を持ちながらのネゴシエーションで、彼らに今の会社のやりがいを聞いた。

 

そんな率直な質問をされることがほとんどないのか、ちょっと戸惑いながら

「このビジネスを通して、たくさんの人と出会い、色んな世界を見られるのが楽しい」と言った。

 

僕もそれに同意し、

「きみたちみたいに同世代の人たちが、大きく会社を動かしていることは僕としても刺激になる。一緒に組めればこれから想像以上に広がるかもしれないしね。だから、いくらで売る。買う。それもまぁ大事かもしれないけど、もっと長期的なパートナーとしてお互いどうできるか。いかにビジネスを拡大していけるのかっていう事を考えていけたらおもしろい。日本にも来てみたらいいやん!たぶんかなり刺激になると思うけどね。」

 

そんなことを語りながら、彼らにどこまで響いたのかは分からないが、今後長い道のりの中、これからを担う僕ら世代がどういう世の中を作っていけるのか。楽しみだ。

 

マザファティデーツ, イラン産デーツ

そしてようやくファクトリーが決まった。カートン300箱をトラックで運び込み、セレクション開始。

 

そのファクトリーは日本とは取引した事がないので、日本基準がわからない。

だから、まずどのデーツがダメなのかを、実際に見せながら教えていく。でもそんな見ただけじゃ出来る訳もない。

いつものローカル用にやっている癖で、選定もずいぶん甘くなる。

 

と言ってもやらないことには始まらない。から、1人がベルトコンベアにデーツを流す役目、そして6人のディフェンダーがベルトコンベアの周りを囲って悪いのを弾いていく。

 

そして2人は、ベルトコンベアを乗り切ったデーツをパッケージに詰めていき、パッキング。1人はカートンの組み立て。


という10人編成でスタート。

 

 

「おぉぉ、ベルトコンベア溢れかえってる!!」いつものクセでか、ベルトコンベアに大量にデーツが流され、ほとんど選別もされず、ゴール地点のパッケージの方に流れていく。

 

「これは、あかん、早すぎる、もっとちょっとずつ流して!」とリクエストをし、それなりに判別可能な量になったが、ディフェンダーは手で意味深にさらさらと触るだけで、ほとんどの悪いのを取ろうとしない!スルーしまくり。僕とモスタファが一番後ろの砦に控えて、流れを押し返しながら、死にもの狂いに弾きまくる。1日目はそんな感じで終わった。

 

でも2日目以降その姿を見て、徐々に「これはダメなもの?」とか聞いてくれるようになったり、「こういう皮の浮いたのがダメだからね!このちょっとちっちゃいのとか、色が悪いのとか!わかるー?とにかくちょっとでも迷ったら全部弾いて!!」とか伝えながら、三日間、朝から工場が暗くて見えなくなるまで選別作業が続けられた。

 

時にベルトコンベアに溢れ返り、カートンからたくさんのデーツが地面に落ちたのも平気で戻そうとして、「あっ!ダメダメ、落ちたのはもう全部ダメなの!」とか、そんなやり取りを何度も繰り返した。

 

選別の長みたいなおばあちゃんも最初は、手で触るだけで全く弾かないというパフォーマンス的なことをしていたが、途中から僕らの意図する要領がわかったみたいでテキパキ動き始め、僕のところにも手を伸ばして悪いのをとってくれる位になった。「私は一番やってるんだから、エキストラボーナスちょうだいね!あはは」


そんなこんなで、2日目からは、皆も要領を得て、次々に弾いてくれるようになり、無事2.5トンの選別とパッキングが終わったのでした。